聖体拝領前の断食について

断食は新約聖書の中で、主を探す、あるいは主を求める行為として描かれています。そこから教会は断食を福音への回心のしるしと考えてきました。教会の伝統は、「祈り」・「断食」・「施し」を回心と一体のものとみなしています。
 ところで、聖体拝領の前に断食をするのは、聖体の姿で人間の中に来られるキリストへの尊敬のため、またキリストに集中するためであると考えられます。
 三世紀の記録には、聖体を拝領する前に他の食物を摂らないように、という指示があります。これを四世紀末の教会会議は勧告として宣言しました。それがやがて規定として広まり、中世になると一般化していきます。
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 断食の時間については、聖体拝領する前夜零時から一切のものを口にしないというものでした。断食ができなかった場合、司祭であればミサを献げることばかりかミサの献げられている聖堂の中に居ることさえ禁じられた時期もあったようです。
 一九五三年に教皇ピオ十二世は断食の規定を緩和し、病人や高齢者の免除規定を定め、また、水は断食を妨げないことを明言しました。これにより、食物とアルコール飲料は三時間、アルコール以外の飲み物は一時間、断つことになりました。時間の計り方は、司祭はミサの始まる時間から、信徒は聖体拝領の時間からさかのぼるようにというものでした。これについては翌年、司祭も信徒も聖体拝領の時間を起点にすると改められています。
 一九六四年十一月二十一日、第二バチカン公会議の期間中に、教皇パウロ六世は新しい断食の規定を公にし、司祭も信徒も聖体拝領の一時間前から、水と薬を除いて飲食を控えることが定められました。また一時間前までは節度を保つならばアルコール飲料も認められることになりました。この規定は翌年、文書でも確認されました。
 現在、聖体拝領前の断食については教会法919条で規定されています。前記の内容の他に、二回目あるいは三回目のミサを献げる司祭、および病者や高齢者とその看護者は、何かを摂取してから一時間の余裕がなくても聖体を拝領することができると明記されています。(『家庭の友』7月号より転載)

写真:「エバ」(フランス/オータン市ロラン美術館)
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by nagasakitenrei | 2007-07-08 14:06 | ご参考