長崎教区典礼委員会 ngstenrei.exblog.jp

聖堂の拡声装置について

f0136327_1034666.jpg
教会の典礼は、みことばと秘跡のしるしから成り立っています。みことばを伝える行為は典礼に不可欠の要素です。ですから、みことばが伝わるように配慮するのは典礼に携わるすべての者の責任でもあります。
イエスは、しばしば湖に浮かぶ船の上から群集に話しかけました。その声はすり鉢の底のような地形に助けられて多くの人の耳に力強く届いたと考えられます。
初代教会から今日に至るまで、典礼の舞台となる建物には、会衆の耳にみことばがはっきりと届くようにさまざまの工夫がなされてきました(写真:テサロニケ市内ギリシア正教会聖堂の朗読台)。今日、拡声装置は同じ理由で典礼に不可欠のものです。

これに関するCNPL(フランス典礼司牧センター)の記事をご紹介しましょう。

***
拡声装置に求められるのは「明瞭さ」です。メッセージは聴衆に届き、理解されなければなりません。この障害となるのが「反響」で、ほとんどすべての聖堂でみられるものです。

1.拡声装置の設置
拡声装置にはさまざまの形がありますが、言葉を確実に伝えるためには、コラムスピーカ(柱状のもの)が適しています。業者の中には、コラムスピーカを取り扱わないところもありますが、それは、このスピーカの設置が細かい技術を要し、また、あまり良く知られていないこともあって軽視されているからです。そのため、典礼の目的に合わない「最新式」スピーカが取り付けられるということもありえます。しかし、最新式の設備が必ずしも典礼のために最良のものであるとは限りません。

2. コラムスピーカの指向性
物理学者のオルソン氏によれば、縦型のコラムスピーカの基本的特徴は以下のようになります。

*音の広がりの上下はスピーカの高さ(長さ)に等しい。
*聴衆への指向性が非常に優れ、反響が大変少ない。
*スピーカからの距離に関係なく聴衆に聞き取りやすい。

音の広がりをピザのような形でイメージしてみると、
*スピーカの高さ(長さ)は1m〜1.5m (ピザの厚さ)
*音の広がりの左右の角度は60度〜100度 (ピザの大きさ・切った角度)

*聴衆にとってスピーカの設置高は、スピーカの下端が床から1m〜1.3mが最良。
*音の到達範囲はスピーカの高さ(長さ)の7倍。(例:1mのスピーカなら7m。)

3. 反響
反響すると聞き取りにくくなるのは、音の到達時間がばらばらだからです。そこで、床から3mの高さに複数設置された無指向性スピーカと1m〜1.3mに設置された一本のコラムスピーカ(指向性)では、聴衆の耳に届く音波の数だけを見ても後者のほうが聞きやすいことがわかります。

4. コラムスピーカの設置法
*聴衆に向けて設置します。音の到達距離は上述のように、スピーカの高さ(長さ)の7倍、到達範囲は60度〜100度になります。
*スピーカと聴衆の間が近い場合は、設置高を1m〜1.2m(スピーカの下端の床からの高さ)にします。
*スピーカはわずかに傾けて取り付けます。角度は、スピーカの中心から伸ばした線が音の最大到達距離(スピーカ長の7倍)で、スピーカの下端の高さに達する角度です。
*設置面が反響しないことが大切です。
*すでにコラムスピーカを設置している場合も、設置高を調整すると改善が期待できます。

5. マイクについて
*マイクは指向性でスピーチ用を複数(取り替えても使えるように)用意するとよいでしょう。
*マイクとの距離は15〜25cmを目安にします。音量は話者の声の大きさで調整するとよいでしょう。ハッキリと区切って、ゆっくり、マイクの指向線上で(声を拾う角度で)話すようにします。
*初めて朗読する人には、マイクの特徴や取り扱いを説明します。
*祭壇上に置くマイクは、朗読用と異なり、平型で共同司式者の声も拾うタイプのものが望ましいでしょう。ただしこのマイクは説教や朗読のためには用いません。

6. その他
*音楽のためのスピーカ設置は別の基準があります。
*一旦設置・調整した音響設備は、原則として誰も触れないようにします(掃除の際の雑巾がけなどで思わぬトラブルを招くこともあります)。調整したレベルについては印をつけておきます。


【参考資料】 LA SONORISATION DES EGLISES
CNPL:http://cnpl.cef.fr/Sono/Sonorisation.htm
by nagasakitenrei | 2007-07-22 10:25 | 典礼と空間