長崎教区典礼委員会 ngstenrei.exblog.jp

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ローマでは聖金曜日に教皇自身が十字架の道行きを司式します。聖ヨハネ・パウロ2世教皇は、聖書に記された出来事から道行きの黙想を選びました。「聖母に会う」、「ヴェロニカの布で顔を拭う」といった伝承に代わって、「ゲッセマネで祈る」、「ペトロに裏切られる」、「盗賊に天国を約束する」、などが黙想されます。
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(「十字架から降ろされたイエス」 フランス/ブルターニュ地方)


聖書による十字架の道行きは、たとえば次のように行うことができます。

1.初め 
司「神よ、わたしを力づけ、」
全「急いで助けに来てください。」
司「栄光は父と子と聖霊に。」
全「初めのように今もいつも代々に。アーメン。」

2.聖歌「キリストは人間の姿で」(典礼聖歌317番)

3.道行
「第一留 イエス、ゲッセマネの園で祈る」(以下同様)
聖書朗読(朗読台で)
黙想(沈黙または黙想を助ける音楽)
祈願(たとえば祈祷書の「十字架の道行き」から各留の後半を用いる)

以下、司式者は順に進む(移動に合わせて音楽を用いてもよい)。
第十四留の後、司式者は祭壇正面に立つ。一同で「十字架賛歌」を歌う。
第十五留を行う場合は賛歌の後、祭壇正面で行う。

4.主の祈り(歌唱)

5.結びの祈願(たとえば十字架称賛の祝日のもの)

6.十字架による祝福(沈黙のうちに行う)
(または通常の派遣の祝福)
(沈黙のうちに式を終わる。聖歌を歌うこともできる。)


***


十字架の道行の十五の黙想と参照箇所の例

1.イエス、ゲッセマネで祈る
(マタイ26・36〜46/マルコ14・32〜42/ルカ22・39〜46)
2.イエス、裏切られ、逮捕される
(マタイ26・47〜57/マルコ14・43〜53/ルカ22・47〜54/ヨハネ18・1〜14)
3.イエス、最高法院で裁判を受ける
(マタイ26・59〜66/マルコ14・55〜64/ルカ22・66〜71/ヨハネ18・19〜24)
4.イエス、ペトロに否まれる
(マタイ26・69〜74/マルコ14・66〜71/ルカ22・55〜60/ヨハネ18・15〜18、25〜27)
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(「わたしはあの人を知らない」 エルサレム/鶏鳴教会)


5.イエス、ピラトに裁かれる
(マタイ27・11〜26/マルコ15・1〜15/ルカ23・1〜25/ヨハネ18・28〜19・16)
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(「見よ、この男だ。」 ルルド/聖ピオ10世記念聖堂)


6.イエス、侮辱され、茨の冠を受ける
(マタイ27・27〜30/マルコ15・16〜19/ルカ22・63〜65/ヨハネ19・2〜3)
7.イエス、十字架を担う
(ヨハネ19・16〜17)
8.イエス、キレネのシモンに助けられる
(マタイ27・32/マルコ15・21/ルカ23・26)
9.イエス、女たちに語る
(ルカ23・27〜31)
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(「わたしのために泣くな。むしろ自分と自分の子供たちのために泣け」 ルルド/山上の十字架の道行き)


10.イエス、十字架につけられる
(マタイ27・33〜38/マルコ15・22〜30/ルカ23・33〜37/ヨハネ19・18)
11.イエス、盗賊に天国を約束する
(ルカ23・39〜43)
12.イエス、その母と愛する弟子
(ヨハネ19・25〜27)
13.イエス、十字架上で息を引き取る
(マタイ27・45〜50/マルコ15・33〜37/ルカ23・44〜46/ヨハネ19・28〜30)
14.イエス、墓に葬られる
(マタイ27・57〜61/マルコ15・42〜47/ルカ23・50〜54/ヨハネ19・38〜42)
15.イエス、復活する
(マタイ28・1〜7/マルコ16・1〜7/ルカ24・1〜7/ヨハネ20・1〜8)
by nagasakitenrei | 2008-02-21 11:11 | ご参考

十字架の道行き

キリスト者は古くから主イエスの受難の道のりを辿り、十字架を礼拝してきました。また聖週間をエルサレムで過ごすことはキリスト者の強い憧れでした。4世紀、スペインの修道女エゲリアは聖地に巡礼し、当時のエルサレムの典礼を書き残しています。(「エゲリア巡礼記」)

十字軍の時代になると、聖地からヨーロッパに帰った人々は、エルサレムの記憶を残すために、また現地に行くことのできない多くのキリスト者のために、イエスの受難を思い出させる十字架や絵を飾るようになりました。

エルサレム巡礼者の信心業であるVia Dolorosa(悲しみの道)。ピラトの総督官邸跡からカルワリオまで歩きながらイエスの出来事を黙想する信心が、信者の日常生活の場に持ち込まれ、各地の聖堂の中や屋外に「十字架の道行き」が設けられることになります。

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(エルサレム旧市街のVia Dolorosa。「第四留 イエス、聖母に会う」)


道行きで黙想する「留」Statioの数は、時代と場所によって5〜30と様々だったようですが、18世紀に教皇クレメンス12世とベネディクト14世が現在の14留の形を定めます。14留の内容は聖書の記述と古い伝承から取られたものでした。近年はマリアとともに復活の希望を黙想する第15留を加えた形も広まっています。
by nagasakitenrei | 2008-02-20 14:53 | ご参考

聖書によるロザリオ

ロザリオは12世紀の終わり頃、聖母マリア信心の新しい形として生まれたと考えられています。13世紀のはじめからは、主にシトー会やドミニコ会の影響で広く一般に普及していきました。当初は聖母マリアへの祈りの決まった文言はなく、大天使ガブリエルの聖母へのあいさつとエリサベトのことばを合わせたものに、キリストの生涯の出来事を短いことばで付け加えるという形をとっていたようです 。「神の母聖マリア、罪深いわたしたちのために・・・」という祈りの後半の言葉は16世紀になって付け加えられたものです。
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(「聖母からロザリオを受け取る聖ドミニコ」  ルルド/ロザリオ大聖堂)

前教皇ヨハネ・パウロ二世は使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』を著わし、ロザリオの信心が信者の霊性を養い、信仰生活の実りを上げるように励ましました。その中で教皇は「ロザリオを唱えることはマリアとともにキリストのみ顔を観想することにほかならない」と述べています 。これはマリアへの祈りの形を取りながらも、ロザリオの中心がキリストであるということを意味しています 。ルルドで行われるロザリオ行列でも先頭を行くのは大きな十字架です。

ロザリオをキリストの救いの出来事を黙想する祈りとするために、教皇はいくつかの具体的な提案をしています 。まず、黙想する神秘を目で見ること。これにはイコン や聖画、ステンドグラスを利用することができます。次に該当する聖書の箇所を朗読すること。そして朗読のあとしばらくの沈黙を置くこと、栄唱を歌うこと、などです。いずれも、マリアの目でイエスの出来事を見る、というロザリオの黙想を豊かにするための工夫です。

ロザリオの20の神秘の黙想にあたって、関連する聖書の箇所を朗読することで、大天使ガブリエルの「おめでとう、恵まれた方。主はあなたとともにおられる。」というマリアへの挨拶からイエスの生涯、救いの出来事が始まったことに気付きます。こうして、これまで伝統的に「この一連をささげて・・・を黙想し、」と唱えてきた玄義(神秘)の黙想がさらに深められていきます。


ロザリオの20の黙想と聖書朗読箇所の例

    喜びの神秘f0136327_13263362.jpg
第一の黙想 イエスの誕生が予告される。
(ルカ1・26‐38)
第二の黙想 マリア、エリサベトを訪ねる。
(ルカ1・39‐45)
第三の黙想 イエスの誕生
(マタイ1・18‐25、ルカ2・1‐7〔20〕)
第四の黙想 イエス、神殿で献げられる。
(ルカ2・22‐38)
第五の黙想 神殿での少年イエス
(ルカ2・41‐52)


光の神秘

第一の黙想 イエス、洗礼を受ける。
(マタイ3・13‐17、マルコ1・9‐11、ルカ3・21‐22)
第二の黙想 イエス、最初のしるしを行う。
(ヨハネ2・1‐11)
第三の黙想 イエス、神の国を告げる。
(マタイ4・12‐17、マルコ1・14‐15、マルコ1・35‐39、ルカ4・14‐15、ルカ4・16‐21、
ルカ4・42‐44)
第四の黙想 イエス、栄光の姿を現す。
(マタイ17・1‐8、マルコ9・2‐8、ルカ9・28‐36b)
第五の黙想 イエス、聖体を制定する。
(マタイ26・26‐28、マルコ14・22‐24、ルカ22・19‐20、ヨハネ6・53‐58、
Ⅰコリント11・23‐26)                           


苦しみの神秘

第一の黙想 イエス、ゲッセマネで祈る。
(マタイ26・36‐46、マルコ14・32‐42、ルカ22・39‐46)
第二の黙想 イエス、鞭打たれる。
(ヨハネ18・38b‐19・1)
第三の黙想 イエス、侮辱を受ける。
(マタイ27・27‐29、マルコ15・16‐20a、ヨハネ19・2‐5)
第四の黙想 イエス、十字架を担う。
(ヨハネ19・14‐27、イザヤ53・4‐7)
第五の黙想 イエス、息を引き取る。
(マタイ27・45‐50〔54〕、マルコ15・33‐37〔39〕、ルカ23・44‐46〔47〕、ヨハネ19・28‐30〔34〕)


栄光の神秘

第一の黙想 イエス、復活する。
(マタイ28・1‐10、マルコ16・1‐7、ルカ24・1‐12、ルカ24・13‐35、ルカ24・36‐48、
ヨハネ20・1‐8、ヨハネ20・11‐18、ヨハネ20・19‐21、ヨハネ20・24‐29、ヨハネ21・1‐14、
ヨハネ21・15‐19)
第二の黙想 イエス、天に昇る。
(マルコ16・15‐19、ルカ24・50‐51、使徒1・7‐11)
第三の黙想 聖霊が降る。
(ヨハネ20・22‐23、使徒2・1‐4)
第四の黙想 マリア、天に上げられる。
(ルカ1・46‐55、Ⅰコリント15・54‐57)
第五の黙想 マリア、イエスの栄光に与る。
(黙示録12・1‐6)
by nagasakitenrei | 2007-09-25 13:27 | ご参考

共同祈願の作り方

主日のミサの共同祈願のために『聖書と典礼』を利用している教会も多いことでしょう。掲載されている意向は「例文」ですので、各教会で独自に作成することもできます。意向を準備するにあたっての留意点を以下にご紹介します。挑戦してみてください。

【材料】 
当日の典礼のみことば(聖書朗読)。
世界と教会の現状。
共同祈願をささげる共同体の現状。

【作り方】
1. 担当する意向は何番目か確認します。共同祈願は通常、イ、教会の必要のため、ロ、国政にたずさわる人々と全世界の救いのため、 ハ、困難に悩む人々のため、 ニ、その場の共同体のため、という順序でささげられます。ただし、堅信、結婚、葬儀などでは、事情を考慮して意向の順序を決めることができます。
2. 共同祈願をささげる典礼の聖書朗読箇所を読みます。
3. 世界と教会、地元の共同体の現状を見直します。
4. 2と3を合わせて大まかな意向を考えます(その日の聖書の教えと毎日のニュースや出来事から共同祈願が生まれてきます)。
5. できる限り意向を述べる本人の手で文章にしましょう。大人が作ったものを子どもに読ませるよりは、子どもとともに意向を準備する方がよいでしょう。
6. 応唱(会衆の応え)を準備し、会衆全体に知らせておきます。

【注意する点】
1. 誰に向けられた(父なる神さまか、キリストか、聖霊か)祈りなのか意識します。
2. 何かのためではなく、誰かのために祈るようにします。
3. 個人的な祈りやアドバイス、お知らせなどにならないようにします。聴く人みながともに祈ることのできる祈りを目指します。
4. 共同祈願は一同の祈りですから、原稿の朗読にならないようにします。

【その他】
1.典礼に連願が含まれる場合は、原則として共同祈願は行いません。
2.共同祈願は司式者の招きの言葉から結びの祈願に会衆が「アーメン」と同意するまでの全体ですから、意向を述べる代表者が途中で移動したり席にもどったりしたりしないようにします。
3.共同祈願の意向は「朗読台または他のふさわしい場所」で述べることができます。「ふさわしい場所」とは、「意向が会衆に聞こえる場所」と考えればよいでしょう。
by nagasakitenrei | 2007-07-20 10:25 | ご参考

共同祈願

 共同祈願はキリスト教典礼と同じ古い歴史を持ち、聖パウロの勧めの中にもその痕跡を見出すことができます。
「そこで、まず第一に勧めます。願いと祈りと執り成しと感謝とをすべての人々のためにささげなさい。」(Ⅰテモテ2・1)
150年頃の記録によると、キリスト者は集会で説教の後全員起立し、声をそろえて祈る、とされています。またこの祈りは東を向いて行われたようです。太陽の昇る方角は復活のキリストのシンボルでした。
西方教会では、典礼に連願が導入されたことで共同祈願は徐々に姿を消し、六世紀ごろには失われてしまいます。後に連願の最初の応答部分がミサの冒頭に置かれるようになり、現在の「あわれみの賛歌」(キリエ)の形になりました。
第二バチカン公会議は典礼憲章で共同祈願の復興を唱え、再び共同祈願がはっきりとした形で共同体の祈りとされました。ちなみに共同祈願を「信者の祈り」とも呼ぶのは、古代教会で洗礼を受けた者だけがこの祈りに与っていたことによります。
ところで、何でもご存知の神に祈る必要があるでしょうか。祈りは神に人間の必要をお知らせするものではありません。共同祈願は受けたみことばへの返答であり、神の国の実現のために何が欠けているか気づくことです。そして祈るのは奉仕者個人ではなくキリストの体である教会です。共同祈願はすべての人のためにとりなすキリストの見える祈りなのです。
by nagasakitenrei | 2007-07-19 14:31 | ご参考