長崎教区典礼委員会 ngstenrei.exblog.jp

ミサの典礼で指示されている「あいさつ」とは、「おはようございます」、「ようこそ教会へ」といったいわば日常のあいさつのことではありません。「主はみなさんとともに(主はあなたがたとともに)」――「また司祭とともに(また、あなたの霊とともに)」という司式者と会衆の対話句のことをいいます。
司式者のあいさつは聖書に由来する古いことばで、主の現存(神さまがそこにおられること)を表すものです。主の御使いのギデオンへのあいさつ「勇者よ、主はあなたと共におられます」(士師記6・12)や大天使ガブリエルのマリアへのあいさつ「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」はその典型です。さらに、司教が司式する場合の最初のあいさつ「平和がみなさんとともに(平和があなたがたとともに)は、ユダヤ人を恐れて戸に鍵をかけた部屋に集まった弟子たちに復活したキリストがかけたことば「あなたがたに平和があるように」(ヨハネ20・19、26)そのものです。
一方、会衆の返答のことばも聖書に由来しています。叙階の秘跡を受けた者が聖霊のたまものを受けた霊をもって奉仕にあたることを宣言するのです(一コリント2・10以下)。復活徹夜祭の「復活賛歌」で、司祭や助祭とともに歌うときでなければ対話句が省かれるのはこのためです。
このように、対話句はミサにおけるキリストの現存を表しています。「ローマ・ミサ典礼書の総則」は「…司祭は、集まった共同体にあいさつをして、主の現存を示す。このあいさつと会衆の応答は、ともに集まった教会の神秘を表す」(50番)と教えています。以前のミサでは公式祈願の前にも対話句がありました。現在のミサの「開祭」、「ことばの典礼」、「感謝の典礼」、「閉祭」のそれぞれ大切な部分に対話句があるのは、典礼憲章が教えるように「キリストの名によって集まるところに」、「ご自身のことばのうちに」、「何よりも聖体の両形態のもとに」、「奉仕者自身のうちに」キリストが現存していることの確認になっているともいえます。
繰り返される対話句の度に、そこにおられる復活のキリストの存在感、気配、息遣いが感じられるように意識してミサに臨みたいものです。
(『家庭の友』14年11月号より)

# by nagasakitenrei | 2018-09-18 17:32 | エウカリスチア

典礼暦(教会暦)

一年の暦に、キリストの救いの出来事と殉教者や聖人の記念を刻むものを教会暦といいます。古いものでは4世紀の教皇ミルチアデスの暦といわれるものが断片的に残されています。
1582年に教皇グレゴリオ十三世は、長い間に太陽の運行とずれてしまったユリウス暦を改めました。これがグレゴリオ暦と呼ばれる暦で、現在も一般に西暦として用いられる暦です。暦を調整するために、同年10月4日の翌日は10月15日とされました。現在のローマ・カトリック教会暦(典礼暦年)はこのグレゴリオ暦に基づいています。世界では、同じキリスト教の祝日でも別の日に祝われることがありますが、それはユリウス暦に基づいた教会暦を用いているところもあるからです。
さて、教会が初めから唯一大切にしていたのは、週の初めの日の復活の記念(主日)でした。やがて、おそらくユダヤ教の伝統を受け継いで、年毎の復活祭を祝うようになったと考えられています。これに伴い、聖なる過越の三日間や50日にわたる復活の記念(復活節)が発展しました。復活徹夜祭の洗礼式は3世紀初めの記録にすでに見られます。4世紀頃からは受難の出来事を黙想するために聖週間が設けられるようになり、洗礼志願者や公の償いをしている人とともに復活祭を準備する40日(四旬節)が成立していったようです。
同じ頃に、神が人となったという出来事についての神学的論争や、太陽の勝利を祝う異教の冬至祭から着想を得て、降誕祭が祝われるようになりました。これに復活祭前後の季節に合わせる形で待降節や降誕節が整えられていきました。
また、キリストのために血を流した殉教者の記念は、キリストの受難と復活に与る出来事として当初から大切にされてきました。さらに、5世紀のエフェソ公会議を機会に、神の母である聖母の記念が、特に待降節に盛んになりました。こうして発展しながら、教会暦には殉教者以外の聖人の記念も加えられるようになっていきました。
教会暦は常に発展するものです。第二バチカン公会議は、歴史の中で混雑してきた教会暦を整理し、キリストの救いの出来事の記念を中心軸に、聖母や聖人の記念を適切に配置しました。それが現在用いられている教会暦です。
(『家庭の友』13年8月号より)

# by nagasakitenrei | 2018-09-18 17:29 | 典礼と時間

香部屋係

教会堂で典礼祭具を保管したり司式者や奉仕者が祭服を身に着けたりする部屋を香部屋あるいは祭具室、またはラテン語でサクリスチアといいます。香部屋係はサクリスタとも呼ばれ、司式者や式典長の意向を十分理解したうえで、典礼書や祭服を含めた典礼祭具全般を管理し、典礼暦や典礼書の指示に従って必要な祭具の準備と片付けを行います。さらに、照明・音響・空調の配慮、教会の鐘を鳴らすことなどを受け持つ場合もあります。また、日常的には聖布の洗濯や祭服の管理、ホスチアやぶどう酒、ロウソクといった消耗品の補充、聖水の管理なども行います。『聖書と典礼』など会衆用の資料の準備を香部屋係が受け持っている教会も多いと思います。
香部屋係は祭儀の中で表に出ることはありませんが、典礼奉仕者として責任の重い不可欠の存在です。会衆や司式者が何も心配することなく祭儀に集中できるのは、香部屋係の奉仕に負うところが大きいのです。香部屋そのものの整理整頓や保管場所の情報共有、防虫(ぶどう酒やホスチア、祭服)や防犯(聖櫃のカギ、献金、香部屋の施錠など)にも配慮し、香炉などで火を使う機会も多いため火の始末にも注意します。香部屋係は、ミサをはじめ、結婚式や葬儀などが行われるたびに、祭儀の前の早い時間に準備に入り、祭儀中も不備がないか心を配りますから、気が休まることはありません。「香部屋係とオルガニストはミサの間ずっと気を散らしているので天国に行けない」という冗談があるほどです。そして祭儀の後は片付けを終えてから退出します。
香部屋係はかつて教会の公の役職とされ、聖職者に数えられたこともあるようですが、現在はとくに規定や資格はなくだれでも務めることができます。典礼奉仕者の一員として侍者など他の奉仕者と協力しつつ、準備に支障がないように、チームで係を受け持つのが望ましいと思います。典礼と取り扱う事柄に関する十分な知識と敬意が必要ですが、実際に任務を果たしながら学ぶことも多いので、典礼の責任者や先輩に手ほどきを受けながら身に付けていくのがよいでしょう。具体的な参考書として、『香部屋係のハンドブック』(白浜満・齊藤賀壽子共著、教友社)があります。
(『家庭の友』17年1月号より)

# by nagasakitenrei | 2018-09-18 17:27 | 典礼奉仕

共同司式ミサの準備

共同司式ミサとは、複数の司祭が共同で司式するミサのことをいいます。その原型は司祭が自分の司教とともに行う共同司式です。「共同司式は、祭司職が一つであること、いけにえが一つであること、そして神の民全体が一つであることを適切に表現」(「ローマ・ミサ典礼書の総則」199)しています。そのため、叙階式ミサや聖香油のミサでは共同司式が規定されています。共同司式ミサはミサが教会のわざであることの見えるしるしなのです。
準備にあたっては次のような点に留意します。①主司式者はだれか。共同司式するのはだれか。人数を含めて確認し、司教がいてバクルス(杖)やミトラ(司教帽)を使う場合はその置き場所も考慮します。高齢や病気のため行列に加わらないで共同司式する司祭がいればミサが始まる前に席に案内します。②祭服はあるか。正当な理由がある場合、主司式者以外はカズラを省くことができます。③共同司式司祭の席はいくつ、どこにもうけるか。入退堂や聖体拝領の際に移動しやすいよう動線に配慮します。④共同司式司祭の典礼書は必要か。必要に応じてマイクロフォンも準備します。⑤パンとぶどう酒は十分か。パテナ、カリス、コルポラーレ、プリフィカトリウムは必要な数準備されているか。なお、大きなホスチアはパンが分けられるシンボルですから、主司式者と同じものを共同司式司祭の人数分準備する必要はありません。⑥会衆の聖体拝領奉仕に必要な数のピクシス(チボリウム)があるか。
助祭がいない場合は共同司式司祭が助祭に固有のつとめを分担します。福音朗読や平和のあいさつの呼びかけ、閉祭の派遣のことばをだれが受け持つのか確認しておくと安心です。一方で、奉仕者がいない場合をのぞいて、共同司式司祭が大勢いるからといって信徒の奉仕の役目をすべて共同司式司祭にまかせるのは避けます。
大規模な共同司式ミサや叙階式などの他の儀式を伴うミサでは、典礼全体を統括する式典長が任命されていると思います。ミサの前に共同司式司祭に式次第を説明し、役割分担や聖体拝領の手順などを確認します。その他の準備として、大人数の司祭が着替える場所やミサ中の司祭の荷物の管理にも配慮が必要です。
(『家庭の友』17年8月号より)

# by nagasakitenrei | 2018-09-18 09:39 | エウカリスチア

祭器卓に準備するもの

ミサは、朗読台を舞台とし聖書が主役となる「ことばの典礼」と、祭壇を舞台とし聖体が主役となる「感謝の典礼」という二つの部分からなり、これに祭儀を始める開祭と祭儀を結ぶ閉祭が伴うという構造になっています。会衆が参加する通常のミサの場合、感謝の典礼が始まるまで、祭壇の上にはロウソクがある場合を除いて朗読福音書以外は何もありません。
感謝の典礼に用いるものは祭器卓に用意します。カリス(ぶどう酒の杯)、プリフィカトリウム(祭器を拭う白布)、パテナ(ホスチアの皿)、コルポラーレ(聖体の敷布)、そして適当であればパラ(カリスやパテナの上にのせて蓋になる板)、聖体拝領に必要なピクシス(=チボリウム。聖体の器)、司式者・奉仕者・会衆の拝領のためのホスチア、ぶどう酒と水の入った小びん、信者の拝領のために用いる受け皿、手を洗うために必要なもの(水差しと手拭きなど)です。カリスはベールで覆うこともでき、ベールはその日の典礼色か白を用います。共同司式ミサのためには司式者の数に見合った十分な大きさのカリスまたは複数のカリスとプリフィカトリウムを準備します。
供え物が奉納行列で運ばれる場合は祭器卓とは別の適当な場所に奉納物を準備する台を設け、ホスチアやぶどう酒と水の小びんをおきます。なお、聖体拝領はそのミサで聖別されたホスチアで行われるのがふさわしいので、行列をしない場合もミサのたびに準備するよう心がけます。
その他に、開祭の回心の儀で聖水を用いる場合は、祭器卓に聖水容器を置いておきます。聖体拝領後のすすぎを祭器卓で行う際には、すすぐ前の祭器を載せるために広げたコルポラーレ(祭壇で用いるものとは別のもの)が必要となります。祭器卓自体に布を用いる規定はありませんが、使用するときには白布を広げておくとよいでしょう。香炉は火を使うため、香舟(香の粉末の容器)とともに祭器卓ではなく専用の香炉スタンドなどに用意します。
(『家庭の友』18年2月号より)

# by nagasakitenrei | 2018-09-17 14:49 | エウカリスチア